世界を冷静に見つめて
真に必要とされる支援を
熱い思いで実践

より対等な関係を重視しながら国際協力を担う

国土の大半をヒマラヤ山脈が占めるネパールでは、近年の地球温暖化で雪解け水が増しており、雨季になると多くの川が氾濫するようになったという。日本赤十字社に勤務する赤松直美さんは、国際部開発協力課の主事として、現地国の赤十字社スタッフとともに洪水の被害にあっている村々で防災事業を進めている。
「現地の子どもの中には、川が増水すると向こう岸の学校まで、ドラム缶を浮き輪代わりに毎日泳いで登校する子もいます。危険とわかっていても、昔から住んでいる土地を簡単に離れられないのが現実なのです」
日本赤十字社は、世界187カ国にある赤十字社の一つである。赤十字社の活動は国によって異なるが、たとえ戦場においても敵味方なく、中立・公平の立場で人道的な支援を行う姿勢は世界共通のものだ。赤松さんもこの考えに感銘を受けて、「ここで働きたい」という思いを強めたという。
現在の仕事は、日本で集まった寄付を資金として、アジアの災害多発国の人々が自分たちの村を自分たちで守る、自立した防災活動を行うための教育事業の推進だ。
「事業は必ずその国の赤十字社のスタッフを中心に行います。寄付国からの一方的な援助が逆に負担を掛けてしまうこともあるので、現地の声を大切にしています」
赤松さんは契約書や協定書に関わる、多方面との連絡や調整を行ったり、現地での調査や視察を通して、事業がスムーズに進むようサポートしている。
「私のつくる書類が事業の進行を左右するので、キーボードを叩きながらも、その先に現地の人々の安全がかかっていることを感じて、1日も早くという思いで取り組んでいます」

国際政治のゼミで学び「佐藤栄作賞」に応募した論文が優秀賞を受賞

赤松さんは、聖心女子大学に進学する際、すでに国際協力の仕事に就きたいという志があった。進学の動機は、奉仕の精神に貫かれた校風や、国際協力の舞台で活躍する卒業生が多いという理由だけではない。大学で、世界情勢や日本の外交についてしっかり学びたいと考えたからだ。
「国際協力に携わるためには、思いだけではなく、きちんと知識をもったうえで、自分に何ができるのかを考えたいと思ったからです」
ゼミでは国際政治の研究に取り組んだ。外交官出身の先生による指導で、「資料収集」「情報分析」「理論展開」、すべてにおいて実社会の第一線で通用する実力を鍛えられた。妥協を許さない先生のもとで、共に学んだゼミ生は、「戦友」と呼べる仲間だという。4年次には、国際関係関連の論文大会『佐藤栄作賞』に挑戦。
「初めて論文を執筆し、自分自身との闘いというものを経験しました。この筋道で真意が読み手に伝わるかどうか、起きている間は常に自問自答の繰り返しでした」
努力が報われ赤松さんは優秀賞を獲得した。「6つのシナリオからみる『地球温暖化問題』」と題し、複雑な問題を論文にまとめた経験が、仕事における企画書や報告書をわかりやすく書き上げる力につながっている。
聖心女子大学で学んだ日々を思うと、どんな局面でも乗り越えられるという。その揺るぎない精神が国際協力の最前線を支えている。

赤松 直美

日本赤十字社
事業局 国際部 開発協力課
歴史社会学科 国際交流専攻
2009年3月卒業


※ 2013年度版掲載。所属・肩書きを含む記事内容は、掲載当時のものです。