天気と季節を日々追いかけ
わかりやすい言葉に変えて
人々に役立つ情報を届けたい

都心で謳歌する学生生活の中で自ずと感受性が養われた東京・広尾のキャンパス

「紅葉の美しさを『あざやか』と言うか、『あでやか』と伝えるか。一字の違いでも浮かぶ景色が変わります」
ほんの数分の天気予報だからこそ短いフレーズにこだわりたいという気象予報士の多胡安那さん。気象情報会社ウェザーマップに所属し、天気番組のキャスターを務めるほか、気象に関わるニュース記事やコラムの執筆なども行っている。
「気象予報士の仕事は、天気や季節の移り変わりをいかにわかりやすく人々に届けるかが問われます。天気図の解析だけならば、コンピュータでもある程度できますが、それを伝える言葉や図の描き方は気象予報士の工夫次第なのです」
多胡さんは仕事を始めてから、番組や執筆に生かせる言葉を思いつくたびノートに書きためてきた。実感から得た言葉の引き出しを増やし、瞬時にベストな一言を選べるようにしておきたいと考えているからだ。同じ季節でも毎年発見があり、その都度新たな表現がノートに加えられていく。この感受性の源には4年間通った聖心女子大学のキャンパスの環境があるという。
「広尾のキャンパスは都心の一等地にあり、校舎の窓から見える東京タワーや六本木ヒルズの夜景も素敵でした。その一方で、都心とは思えないほど四季折々の自然を感じました。例えば、春には正門から続く桜並木が満開になり、そこかしこに可憐な草花が咲きます。また、クリスマスシーズンにはミサに参加し、冬の光が射す聖堂の清々しい空気に触れるのも好きでした」
愛着深いキャンパスを思い出すと、多胡さんは何かに見守られているような、温かい気持ちに満たされる。

クラスメートに学んだ変化にも柔軟に対応するしなやかな姿勢

大雨や台風など災害につながる天候を事前に知らせ、事故を未然に防ぐのも気象予報士の重要な役割だ。
「私たち気象予報士は日頃から日勤、夜勤、早朝勤務のシフトを組み、24時間365日休みなく天気の動きを追っていますが、台風が接近しているときなどはシフトに関わりなく出勤し、天気図と向き合っています」
不規則な生活と生放送に向けて時間に追われる仕事は緊張を強いられるが、常に笑顔で柔軟に対応する姿勢を忘れない多胡さんには芯の強さが見える。
「私に芯の強さがあるとしたら、それは聖心女子大学の友人たちの中で培われたものだと思います。同じ女性として尊敬できる、凛とした姿を持つ友人たちに恵まれていました。その姿は、一人ひとりが自分という人間を大切に、家族やまわりの人から受けた愛情や期待に恥じない行動を取るよう努めてきたところから生まれていたと思います」
4年次のゼミで、オープンキャンパスに訪れた高校生を前にグループ発表をした際のこと。時間が限られていたにも関わらず、互いに気を配り合い、抜群のチームワークで英語のデモンストレーションを終えたとき、壇上の仲間を誇らしく感じたという。
「今も大学時代の友人とはよく会って話をします。ほっとすると同時に、またがんばろうと思わせてくれるかけがえのない存在です」
刻々と変化する天気を相手にしながら、常に冷静にわかりやすく情報を発信する多胡さん。そのしなやかさには聖心女子大学で育まれた強さが息づいている。

tako

多胡 安那

株式会社ウェザーマップ
気象予報士
外国語外国文学科 英語英文学専攻(現:英語英文学科)
2005年3月卒業


※ 2015年度版掲載。所属・肩書きを含む記事内容は、掲載当時のものです。